文書作成日:2023/01/12
過重労働対策として勤務間インターバル制度が効果的だと言われているため、社労士は坂本工業で説明することとした。
先日、1日の労働時間が長い従業員のことを心配されていましたので、今日は勤務間インターバル制度についてご説明したいと思います。
確か、勤務と勤務の間に一定の働かない時間を設けるという制度でしたよね。導入している企業があるような話は聞いたことがありますが、当社ではまったく検討していませんでした。
そうです。終業時刻から次の始業時刻の間に、一定時間以上の休息時間(インターバル時間)を確保する仕組みを勤務間インターバル制度と呼んでいます。まずは、他社の状況を確認してみましょう。
厚生労働省が公表している「令和4年就労条件総合調査」(以下、「令和4年調査」という)をみると、勤務間インターバル制度を導入している企業割合は、5.8%(令和3年調査4.6%)となっています。企業規模別に導入している割合をみると、1,000人以上が14.6%、300~999人が6.7%、100~299人が5.3%、30~99人が5.7%となっています。
企業規模が大きくなると、導入している割合も相対的に高くなるのですね。
そうですね。また、現状は導入していないものの、導入の予定があったり、導入を検討している企業の割合も同様の傾向を示しています。現状、勤務間インターバル制度は努力義務とされていますが、過労死等の防止のための対策に関する大綱の中で、国は以下の数値目標を定めています。
・2025年までに、勤務間インターバル制度を知らなかった企業割合を5%未満とする。
・2025年までに、勤務間インターバル制度を導入している企業割合を15%以上とする。
なるほど、努力義務とは言え、今後、さらに周知活動が活発化し、導入する企業も増えて来るかも知れませんね。
はい。勤務間インターバル制度は、従業員の生活時間や睡眠時間を確保することを狙いとしています。睡眠時間の重要性を明らかにしたアメリカの研究では、毎日4時間の睡眠時間が6日間続くと、一晩徹夜したのと同じくらいの遅延反応が生じた等という実験結果も出ているようです。毎日少しずつでも睡眠不足が続くと、疲労が慢性化し、判断能力や反応が鈍くなり、仕事にも支障をきたすという話になります。
確かに、しっかりと睡眠時間をとることは大事ですね。ちなみに、この勤務間インターバルの時間数について、何か決まりがあるのですか。
特段、決まりはありませんが、導入事例を見ると、9時間から11時間のインターバル時間を設定することが多くなっているようです。実際には、勤務状況をみて検討することになりますが、令和4年調査でも、1企業平均間隔時間として「10:22」となっているので、こちらも目安になるのでしょう。ちなみにEU加盟国では最低でも連続11時間を確保することが必要とされています。
なるほど。少しイメージしたいのですが、勤務間インターバルの時間数を11時間とし、始業時刻8時、終業時刻17時という例で、23時に業務が終了したとき、次の日の始業は10時になるのですよね。この場合、8時から10時はどのような取扱いになるのでしょうか。
次の日の勤務については、始業時刻8時から10時までは勤務したものとみなすといった取扱いや、始業時刻を繰り下げ、始業時刻を10時、終業時刻を19時として勤務をするという取扱いが考えられます。
なるほど。年度末に向けて繁忙期になり、遅くまで残って帰りが遅くなるケースもあることから、当社でも検討してみてもよさそうです。次の責任者が集まる会議で検討しようか。
はい。資料をまとめてみます。
わからない点等、出てきましたら、いつでもご相談ください。
>>次回に続く
厚生労働省の特設サイト「働き方・休み方改善ポータルサイト」では、勤務間インターバル制度の導入・運用マニュアルが公開されており、全業種版のほかに、IT業、建設業、高齢者福祉・介護事業の業種版があります。また、勤務間インターバル制度導入事例が紹介されており、自社と同じ業種や企業規模がないか情報を検索することも可能です。検討の際には、ぜひチェックしてみてください。
■参考リンク
働き方・休み方改善ポータルサイト「勤務間インターバル制度について」
https://work-holiday.mhlw.go.jp/interval/
厚生労働省「過労死等の防止のための対策に関する大綱」の変更が本日、閣議決定されました」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_20085.html
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。