厚生労働省では、労働者の募集・採用における年齢制限を原則禁止していますが、例外として、就職氷河期世代に限定した特例措置を2025年3月末まで延長しました。以下では、労働者の募集・採用における年齢制限と就職氷河期世代を対象とした助成金をとり上げます。
[1]労働者の募集・採用における年齢制限
労働者の募集・採用の際、原則として、年齢を不問としなければなりませんが、例外的に年齢制限を行うことが認められる場合があります。この例外的に認められる場合は以下のとおりです。
- 定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を無期労働契約の対象として募集・採用する
- 労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている
- 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を無期労働契約の対象として募集・採用する
- 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、 無期労働契約の対象として募集・採用する
- 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある
- 60歳以上の高年齢者、就職氷河期世代(昭和43年4月2日から昭和63年4月1日までに生まれた人)または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる人に限定して募集・採用する
このうち6.については、就職氷河期世代で正社員雇用の機会に恵まれなかった人に対する特例であり、2023年3月末までは「35歳以上55歳未満」と具体的な年齢で示していたところ、「昭和43年4月2日から昭和63年4月1日までに生まれた人」と生年月日で示され、2025年3月末まで延長されました。
また、ハローワークにも同一内容の求人を申し込むこと等の要件を満たしたうえで、就職氷河期世代で正社員雇用の機会に恵まれなかった人を募集対象とする直接募集や求人広告、民間職業紹介事業者への求人申込み等の方法を併用することができます。
[2]特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)
就職氷河期世代を正規雇用労働者(正社員)として雇用する場合には、特定求職者雇用開発助成金の「就職氷河期世代安定雇用実現コース」の利用が考えられます。この助成金は、就職氷河期世代で、以下の要件を満たす人をハローワーク・民間の職業紹介事業者などの紹介により正社員として雇い入れた場合に対象となります。
- 雇入れの日の前日から起算して過去5年間に正社員として雇用された期間を通算した期間が1年以下である人
- 雇入れの日の前日から起算して過去1年間に正社員等として雇用されたことがない人
- ハローワークなどの紹介の時点で「失業している人」または「非正規雇用労働者など安定した職業に就いていない人」で、ハローワークなどにおいて、個別支援等の就労に向けた支援を受けている人
助成金の額は合計60万円(大企業は50万円)で、対象期間を6ヶ月ごとに区分し、2回に分けて支給されます。また、対象となる労働者を雇い入れ、訓練と賃上げを実施した場合スに、この就職氷河期世代安定雇用実現コースの1.5倍の助成金を支給する「成長分野等人材確保・育成コース」が設けられています。
就職氷河期世代安定雇用実現コースには、上記のほか様々な要件が設けられています。活用を検討する際は事前に詳細を確認しましょう。
■参考リンク
厚生労働省「募集・採用における年齢制限禁止について」
厚生労働省「就職氷河期世代を対象とする募集・採用について特例期限を令和6年度末まで延長します」
厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。