今夏も猛暑となる見通しが出されており、今後、熱中症予防対策が重要になってくる。そこで、社労士は、令和4年「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」実施要綱から、職場における熱中症予防対策を説明することとした。
今年も徐々に暑くなってきましたね。
そうですね。昨年1年間の職場における熱中症の発生状況をみてみると、死亡を含む休業4日以上の死傷者が547人、うち死亡者は20人となっています。
なるほど。熱中症が原因となって亡くなる場合もあるのですね。
業種別にみると、死傷者数については、建設業128件、製造業85件となっており、全体の約4割がこれら2つの業種で発生しています。また、死亡者数は、建設業、商業の順に多く、「休ませて様子を見ていたところ容態が急変した」、「倒れているところを発見された」など、管理が適切になされておらず被災者の救急搬送が遅れた事例があるようです。
当社も製造業ですので、やはり対策は重要ですね。
そうですね、対策は常に確認し、必要に応じて、改善していくことが求められます。ちなみに、屋内作業での発症も先ほどの死傷災害の約2割あり、「屋内作業だから問題ない」と決めつけてしまうことのないようにしましょう。
なるほど、確かに屋外作業の対策に目が行きがちですが、職場全体で考えていく必要がありますね。
はい。このような職場での熱中症の状況があることから、厚生労働省では5月1日から9月30日まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施し、7月1日から7月31日までを重点取組期間としています。
これからの時期において、どのような取組が求められているのでしょうか?
キャンペーン期間中(5月1日から9月30日まで)と重点取組期間(7月1日から7月31日まで)に分けて、重点実施事項を確認しましょう。まずキャンペーン期間中については以下のような重点実施事項が設定されています。
- WBGT値の把握と評価
- 作業環境管理(WBGT値の低減等、休憩場所の整備等)
- 作業管理(作業時間の短縮等、暑熱順化への対応、水分および塩分の摂取、服装等の変更、プレクーリング実施の検討)
- 健康管理(健康診断結果に基づく対応等、日常の健康管理と必要に応じた指導、労働者の健康状態の確認および暑熱順化の状況の確認、作業中の労働者の健康状態の確認)
- 異常時の措置
例えば、上記の健康管理にある「健康診断結果に基づく対応等」とは、どのようなものでしょうか?先日、定期健康診断を受けたところで、気になりました。
「健康診断結果に基づく対応等」とは、熱中症の発症に影響を及ぼすおそれのある、糖尿病、高血圧症、心疾患、腎不全、精神・神経関係の疾患、広範囲の皮膚疾患、感冒等、下痢等のような疾病を有する従業員に対して、医師等の意見を踏まえ必要な配慮を行うことが求められています。
なるほど。定期健康診断の結果が戻ってきたら、医師等の意見を踏まえて配慮を行いたいと思います。
次に、重点取組期間中については以下の重点実施事項が設定されています。
- 作業環境管理
- 作業管理
- 異常時の措置
作業環境管理については、WBGT値の低減効果を再確認し、必要に応じ追加対策を行うことが求められています。作業管理は、この重点取組期間中に梅雨明けを迎える地域が多く、急激にWBGT値の上昇するような場合、従業員の暑熱順化ができていないことから、WBGT値に応じた作業の中断等を徹底すること等が挙げられています。
現場の管理者が状況を確認し、必要であれば作業の中断等の指示を出すことが必要ですね。
そうですね。そして、異常時の措置については、体調不良の従業員を休憩させる場合は、状態の把握が容易に行えるように配慮し、状態が悪化した場合の連絡・対応方法を確認しておくこと等が求められています。
熱中症予防対策として、追加で取り入れることができる項目がありそうです。現場の管理者や従業員も巻き込んで検討してみます。