次世代育成支援対策推進法では、常時雇用する労働者数が101人以上の企業に、一般事業主行動計画を策定し、都道府県労働局長に届け出ることを義務付けています。この行動計画に定めた目標の達成など、一定の基準を満たした場合、「子育てサポート企業」として厚生労働大臣の認定(くるみん認定)を受けることができます。この4月に、くるみん認定等の認定基準の一部が改正されました。
[1]くるみん認定基準の変更
くるみんの認定基準には複数の要素がありますが、このうち男性の育児休業等の取得に関する基準が改正され、満たすべき男性の育児休業等取得率が「7%以上」から「10%以上」になりました。この男性の育児休業等取得率は、男性の育児休業等・育児目的休暇取得率を満たすことも認められており、その数値も「15%以上」から「20%以上」に引上げられています。さらに、認定基準として、男女の育児休業等取得率等を厚生労働省のウェブサイト「両立支援のひろば」(https://ryouritsu.mhlw.go.jp/)で公表していることが基準に追加されました。
[2]プラチナくるみん認定基準の変更
くるみん認定を既に受け、相当程度、両立支援のための制度導入や利用が進み、高い水準の取組を行っている企業については、プラチナくるみん認定を受けることができます。このプラチナくるみんの認定基準である男性の育児休業等取得率も改正され、満たすべき数値が「13%以上」から「30%以上」に引上げられました。男性の育児休業等・育児目的休暇取得率についても「30%以上」から「50%以上」になっています。また、プラチナくるみん認定基準に設けられている、出産した女性労働者および出産予定だったが退職した女性労働者のうち、子の1歳時点在職者割合が「55%」から「70%」に引上げられました。なお、これらの認定に関しては、一部、経過措置が設けられています。
[3]新たに設けられたトライくるみんと「プラス」
4月から既存のくるみん認定・プラチナくるみん認定に加え、「トライくるみん」が設けられました。認定基準は2022年3月31日までのくるみんと同じですが、トライくるみん認定を受けていれば、くるみん認定を受けていなくても直接、プラチナくるみん認定を申請できることになっています。
さらに、不妊治療と仕事との両立に関する認定制度として、くるみん、プラチナくるみん、トライくるみんの一類型として、不妊治療と仕事を両立しやすい職場環境整備に取り組む企業の認定制度「プラス」が創設されました。認定要件は以下の2点です。
- 受けようとするくるみんの種類に応じた認定基準を満たしていること
- 次の(1)~(4)をいずれも満たしていること
(1)次のaおよびbの制度を設けていること- 不妊治療のための休暇制度(多様な目的で利用することができる休暇制度や利用目的を限定しない休暇制度を含み、年次有給休暇は含まない。)
- 不妊治療のために利用することができる、半日単位・時間単位の年次有給休暇、所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワークのうちいずれかの制度
(2)不妊治療と仕事との両立に関する方針を示し、講じている措置の内容とともに社内に周知していること
(3)不妊治療と仕事との両立に関する研修その他の不妊治療と仕事との両立に関する労働者の理解を促進するための取組を実施していること
(4)不妊治療を受ける労働者からの不妊治療と仕事との両立に関する相談に応じる担当者を選任し、社内に周知していること
改正育児・介護休業法により、今後、男性の育児休業取得率の上昇が予想されます。また、積極的な育児参加を希望する若年層が多いといわれています。子育て等の環境の充実度合いは、求職者が企業を選ぶ際の重要なポイントとなってきていますので、そのアピールのためにもこのような認定制度の活用が考えられます。
■参考リンク
厚生労働省「令和4年4月1日からくるみん認定、プラチナくるみん認定の認定基準等が改正されます!新しい認定制度もスタートします!(令和3年11月作成(令和4年3月改訂))
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/jisedai.pdf
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。