健康保険証とマイナンバーカードの一体化が始まり、医療機関や薬局(以下、「医療機関等」という)の窓口で、マイナンバーカードによる健康保険の被保険者や被扶養者資格の確認が始まっています(オンライン資格確認)。そこで、現段階でオンライン資格確認を行った際に発生することがある課題とその対応について確認します。
[1]資格確認端末における表示
医療機関等の窓口では、資格確認端末にマイナンバーカードを置いたり、かざしたりすることでオンライン資格確認を行いますが、被保険者や被扶養者資格があるにも関わらず「資格(無効)」、「資格情報なし」と表示されることがあります。
表示される理由は複数ありますが、例えば、転職により転職先での資格取得手続きを行っているものの、オンライン資格確認の時点では、資格情報が登録されていないようなケースがあります。
[2]資格確認ができないときの対応
資格確認ができないときは医療機関等の窓口において、本来、医療費の全額(10割)を支払い、後日、協会けんぽ等の保険者に一部負担金を除いた額を請求する必要がありますが、従業員や家族が一時的に医療費を立て替える負担は小さくありません。そこで、オンライン資格確認ができない場合の対応として、統一した取扱いが示されています。
具体的には、医療機関等にある機器が不良でオンライン資格の確認ができない場合、従業員や家族が持っているスマートフォン等からマイナポータルにアクセスして資格情報の画面を提示したり、健康保険証を持参しているときにはそれを提示したりすること等により資格確認を行うことができます。
このような確認ができないときには、マイナンバーカードにある氏名や生年月日等の情報、連絡先、加入している保険者等に関する事項等を「被保険者資格申立書」に記入することで、一部負担金の支払いとすることができます。なお、被保険者資格申立書は医療機関等の窓口に用意されており、場合によっては口頭確認のみで済むこともあるかもしれません。
[3]会社に求められる対応
本来は資格取得手続きをすることで、被保険者等の情報が速やかに登録されるのであれば、このような課題は解消されますが、それまでの期間についてはあらかじめ従業員に以下のようなアナウンスをしておくとよいでしょう。
- オンライン資格確認をする際にはデータ登録の関係上、医療機関等で「資格(無効)」や「資格情報なし」と表示される場合がある
- 医療機関等の機器不良等によりオンライン資格確認ができないことがある
- オンライン資格確認ができないときには、「被保険者資格申立書」の提出等により一部負担金の支払いで済むことがある
- データ登録の状況をお知らせする仕組みが整備されるまでの間、初めてマイナンバーカードで医療機関を受診する場合や、転職等により新しい健康保険証が交付された場合などは、マイナポータルで資格情報を確認するか、念のためマイナンバーカードとあわせて健康保険証を持参してほしい
今後もマイナンバーカードの活用においては、様々な課題が発生するかもしれません。情報収集をして、必要な情報を従業員に提供できるようにしておきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「オンライン資格確認の導入について(医療機関・薬局、システムベンダ向け)」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。