各種休暇の中で、従業員が時間単位で取得できるものとして年次有給休暇(以下、「年休」という)と子の看護休暇・介護休暇(以下、「子の看護休暇等」という)があります。それぞれの違いに着目し、内容を確認しましょう。
[1]労使協定の位置づけ
年休は原則、暦日単位での取得になっており、時間単位で取得するには労使協定を締結する必要があります。
一方、子の看護休暇等については、2021年1月1日より、労使協定を締結することなく、時間単位でも取得できるようにすることが義務となりました。なお、子の看護休暇等を時間単位で取得させることが困難と認められる業務に従事する従業員を、時間単位での取得から除外することが可能ですが、その際は労使協定を締結することが必要です。
[2]取得単位の考え方
時間単位年休は、1時間未満を取得単位とすることはできず、1時間以上の単位での取得となります。例えば2時間単位での取得とすることもできますが、この場合、労使協定にその単位となる時間数を定めることが求められます。
子の看護休暇等は、1時間単位での取得が原則であり、年休のように2時間単位での取得とすることはできません。一方で、15分などの分単位で取得できるようにすることは、法令を上回る取扱いとして認められます。
[3]1日の時間数の取扱い
1日分の年休を時間単位年休に換算するときで、1時間未満の端数があるときは、時間単位に切り上げることとされています。例えば所定労働時間が7時間30分の場合、1日8時間に換算した上で、時間単位の取得をさせることになります。
一方、子の看護休暇等も同様に考えることが原則ですが、分単位で取得できるようにした場合については、1日の所定労働時間数に1時間に満たない端数があったとしても、従業員にとって不利益にならなければ、端数を時間単位に切り上げなくても差し支えないとされています。
[4]中抜けの取扱い
時間単位年休については、取得する時間帯を制限することはできません。そのため、所定労働時間の途中に時間単位年休を取得するいわゆる「中抜け」としての取得もできます。
子の看護休暇等については、始業時刻から連続、または終業時刻まで連続して取得することになっており、法令上は中抜けでの取得を認めていません。なお、会社が任意で、子の看護休暇等に対し、中抜けの取得を認めることは問題ありません。