障害者雇用に関しては、2024年4月より法定雇用率が2.5%に引き上げられ、更に2026年7月には2.7%に引き上げられます。法定雇用率の引き上げに対応すべく、新規雇用を進めている企業も多いかと思われます。重要性を増す障害者雇用ですが、これに関連して、先日、厚生労働省から「令和5年度障害者雇用実態調査」の結果(以下、「調査結果」という)が公表されました。以下では、この調査結果から、障害者雇用の現状と障害者雇用に当たっての課題・配慮事項について確認します。
[1]障害者雇用の現状
この調査は、2023年6日1日現在(賃金および労働時間については2023年5月中)で実施されたもので、常用労働者5人以上を雇用している民営事業所(以下、「従業員規模5人以上の事業所」という)から無作為に抽出した約9,400事務所を対象に行われたものです。
調査結果によれば、従業員規模5人以上の事業所に雇用されている障害者数は110万7,000人で、前回調査が行われた2018年度と比べて25万6,000人増加しました(2018年度は85万1,000人)。この内訳をみてみると、身体障害者が52万6,000人(同42万3,000人)、知的障害者が27万5,000人(同18万9,000人)、精神障害者が21万5,000人(同20万人)、発達障害者が9万1,000人(同3万9,000人)でした。
一方、職業別に雇用者数の割合をみてみると、身体障害者と精神障害者では事務的職業、知的障害者と発達障害者ではサービスの職業がもっとも多くなっています。
[2]障害者雇用に当たっての課題・配慮事項
障害者を雇用する際の課題について、すべての障害の種別において、「会社内に適当な仕事があるか」がもっとも多くなっています。また、身体障害者では、「職場の安全面の配慮が適切にできるか」という項目が続いています。
次に、雇用している障害者への配慮事項について、割合の多いものをみてみると、以下のようになっています。障害の種別に応じて、様々な配慮が行われていることが分かります。
※()は割合
[身体障害者]
休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮(40.2%)
通院・服薬管理等雇用管理上の配慮(38.3%)
短時間勤務等勤務時間の配慮(37.9%)
[知的障害者]
能力が発揮できる仕事への配置(51.1%)
短時間勤務等勤務時間の配慮(50.9%)
業務実施方法についてのわかりやすい指示(50.3%)
[精神障害者]
短時間勤務等勤務時間の配慮(54.3%)
休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮(50.9%)
通院・服薬管理等雇用管理上の配慮(49.2%)
[発達障害者]
休暇を取得しやすくする、勤務中の休憩を認める等休養への配慮(61.2%)
短時間勤務等勤務時間の配慮(50.9%)
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、障害者の雇い入れや雇用の継続などに取り組む事業主に対する助成金制度を設けています。下記の参考リンクから、取り組み内容や目的別に利用可能な助成金を探すことが可能です。このような助成金も活用しながら、障害者の雇用・定着を進めていきましょう。
■参考リンク
厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金関係助成金 取り組み事例で探す」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。