定期健康診断(以下、「健康診断」という)を秋に実施している企業も多いと思いますが、健康診断の受診後に従業員が有所見となった場合の取扱い、健康診断の実施後に会社がやるべきこと等、適切に対応ができていないケースが見受けられます。そこで今回は、健康診断の実施後の対応についてとり上げます。
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健康診断の実施
健康診断の実施については、労働安全衛生法および労働安全衛生規則において、会社は労働者に対して、1年以内ごとに1回(深夜業に従事する労働者等は6ヶ月ごとに1回)、定期に健康診断を実施しなければならないとされています。実務上、人事担当者から「健康診断の受診を拒否する社員がいて対応に困っている」という相談を受けることがありますが、労働者についても健康診断の受診義務が課されていますので、健康診断を受けることは拒否できません。
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有所見者への対応
健康診断を実施した後については、医師等により異常の所見がある(有所見)かが判断され、有所見のときには、医師等から就業に関する意見を聴取する必要があります。この聴取する意見については、就業上の措置に関して、その必要性の有無、講ずべき措置を聞き(下表参照)、その内容を健康診断結果へ記載してもらいます。そして、この医師等の意見を勘案し、会社が、必要があると認めるときは、その労働者の実情を考慮して、労働時間の短縮、作業の転換、就業場所の変更、深夜業の回数の減少等の措置を講じたり、医師等の意見を衛生委員会等へ報告したりするなどの対応が求められます。(※表はクリックで拡大されます)
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再検査・精密検査となった従業員への対応
健康診断の実施後に再検査・精密検査となった従業員に対して、会社はどのような対応が必要なのか質問を受けることがあります。定期健康診断については、[1]でとり上げた通り、会社に実施義務が課されていますが、この再検査・精密検査については、会社の実施義務はなく、厚生労働省が公示する「健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」の中で、会社に対して再検査・精密検査の受診を勧奨する努力義務が課されています。そのため、会社としては、従業員に対して再検査・精密検査を受診するように促すことが求められます。
また常時50人以上の労働者を使用している事業場は、健康診断実施後、遅滞なく、定期健康診断結果報告書を所轄の労働基準監督署へ提出しなければなりません。この定期健康診断結果報告については、2025年1月より電子申請での提出が義務となりますので、電子申請に対応できるよう準備を進める必要があります。
■参考リンク
厚生労働省「
労働安全衛生法に基づく健康診断実施後の措置について」
厚生労働省「
労働者死傷病報告の報告事項が改正され、電子申請が義務化されます(令和7年1月1日施行)」
厚生労働省「
健康診断結果に基づき事業者が講ずべき措置に関する指針」(改正 平成29年4月14日 健康診断結果措置指針公示第9号)」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。