急激な少子化の進行に対応して、次代の社会を担う子どもの健全な育成を支援するため、2005年に次世代育成支援対策推進法(以下、「次世代法」という)が施行されました。2025年3月末までの時限立法でしたが、2024年の通常国会で2035年3月末まで延長され、また一部の内容が改正されたことから、法律のポイントと改正点を確認します。
[1]行動計画の策定・変更
次世代法では、次世代育成支援のための一般事業主行動計画(以下、「行動計画」という)の策定・届出、公表・周知を、従業員数100人超の企業に義務付けています。
行動計画では、企業が従業員の仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備や、子育てをしていない従業員も含めた多様な労働条件の整備などに取り組むに当たり、以下の項目を定めるものです。
[行動計画に定める項目]
- 計画期間
- 目標
- 目標達成のための対策およびその実施時期
企業によって、仕事と子育ての状況に違いがあります。そのため、どのような行動計画を策定するかは、企業の判断に委ねられています。ただし、今回の改正では、行動計画に育児休業取得の状況(男性の育児休業等取得率)や労働時間の状況(フルタイム労働者の各月の時間外・休日労働時間数等)に関する数値目標を設定することが義務付けられました。
[2]自社の状況の把握・分析
行動計画を効果的なものにするためには、自社の現状の課題に沿った内容を策定する必要があります。そのため、今回の改正では、行動計画策定・変更時に、自社の育児休業の取得状況や労働時間の状況を把握することも企業に義務付けています。改正法施行後に新たに策定する行動計画は、改善すべき事情を分析した上で、分析結果を勘案して策定をすることとなります。
[3]育休取得率の公表義務拡大
育児・介護休業法の改正により、現在、従業員数1,000人超の企業を対象に義務付けられている育児休業の取得状況の公表が、2025年4月以降、従業員数300人超の企業に拡大されます。
若年層の採用においては、育児休業の取得状況に着目する者も多くいることを念頭に置くと、自社の状況を把握・分析し、効果的な対応を取っていくことは人材採用の観点からも重要となります。
改正次世代法の施行は、2025年4月1日であり、施行日以降に開始または内容を変更する行動計画から義務の対象となります。自社の状況の把握には時間を要することもありますので、特に行動計画の策定等が義務とされている企業では、現在の行動計画の内容を確認し、早めの取組みを進めましょう。
■参考リンク
厚生労働省「次世代育成支援対策推進法」
※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。